都市型ワイナリーの魅力を探る!世界的なブームにもなりつつある、都市型ワイナリー。その魅力とは?

なぜこんな街中にワイナリー? 東京や大阪などの大都市で、日本ワインを醸造するワイナリーが増えています。そんな都市型のワイナリーの魅力とは?

醸造は、アクセスのよい都会で。ショーケース的な役割も果たす都市型ワイナリーは、新しい都会のランドマークに。

本来、ワイナリーはその土地のテロワールを大切にし、風土を反映させたワインを造ることが前提にあったはず。ところが近年、N.Y.やロンドンなどの大都市でも、近郊地域でのブドウ栽培を利用して、街中でワインを醸造するところが増えています。日本でも同様に、東京や大阪などの大都市や、駅からの利便性などを考慮した場所にブドウを運び、日本ワインを醸造するワイナリーが登場しはじめました。都会で醸造をおこなうワイナリーは、アクセスもよく、ワイン造りを身近に感じてもらえるという大きなメリットが。地域の活性化にもつながっているケースもあり、その可能性は広がっています。今回はそんな都市型のワイナリーと、ワインの魅力をお伝えします。東京・台東区でワイナリーを営む話題の『BookRoad ~葡蔵人~』へ、『wa-syu』が独占取材しました。

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東京セレクション:ワインエキスパートもおすすめ! 東京に醸造所を持つワイナリー3選。

注目を集めている都市型ワイナリーの中でも、特に下町のクラフトマンシップが生きている東京のワイナリー。近郊でブドウを生産しているところはほとんどありませんが、山梨県や北関東、東北地方に比較的近いという地の利を活かし、さまざまなチャレンジをしています。

左:『深川ワイナリー東京』のロゼは、「長野県安曇野市産カベルネソーヴィニョン ロゼ 2019」。ワイン醸造を身近に見て・知って・体験してもらおうと、東京の下町、門前仲町に2016年オープンしたワイナリーが、丁寧に仕上げた逸品です。
中:『BookRoad(ブックロード) ~葡蔵人~』は、幻の品種『アジロンダック』を、ジューシーでイチゴのアロマを感じる逸品に。東京・台東区で、山梨県の契約農家や茨城県の自社農園と連携してワイン造りを続けています。料理とのペアリングを提案したおしゃれなラベルも有名!
右:練馬区で活動する、その名も『東京ワイナリー』。「山形県高畠町デラウェア 2020」は、キリッと酸のある青デラウェアを野生酵母で発酵させ、スッキリ辛口に仕上げてあります。地元・練馬区の野菜とのマリアージュも提案しています。

※左から2番目の画像はイメージです。2021ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2022ヴィンテージです。
※左から3番目の画像はイメージです。2020ヴィンテージは完売しました。現在の取り扱いは、2021ヴィンテージです。

写真左から:
深川ワイナリー東京/長野県安曇野市産カベルネソーヴィニョン ロゼ 2019
BookRoad ~葡蔵人~/アジロン/SOLD OUT
BookRoad ~葡蔵人~/アジロン 2021/SOLD OUT
BookRoad ~葡蔵人~/アジロン 2022
東京ワイナリー/山形県高畠町デラウェア 2020/SOLD OUT
東京ワイナリー/山形県高畠町デラウェア 2021

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大阪セレクション:ワインエキスパートもおすすめ! 大阪に醸造所を持つワイナリー3選。

大阪は、実は隠れた農業地域。温暖な気候と交通の便の良さから、ブドウの生産量も全国7位を誇ります。中でもデラウェアは、かつては生産量日本一を誇り、現在でも山形県、山梨県に続く全国3位。近郊栽培の利点を活かしたワイン造りが進められています。


左:『島之内フジマル醸造所』は、大阪の街の中心地でオープン。「デラキング 2019」は山形県産の最高級のデラウェアを使用。デラウェアを知り尽くした大阪のワイナリーだからこそ造れる、特別なキュヴェです。
中:『島之内フジマル醸造所』が、大阪産のデラウェアを使用して造った「大阪デラウェア 2020」。ブドウ産地として100年以上の歴史がある大阪府・柏原市で代々ブドウ栽培を営んできた契約農家さんから、ワイン用に育てたデラウェアを届けてもらっています。ブドウの出来がよい年だけにリリースされる新酒です。
右:『カタシモワイナリー』の「たこシャン マグナム[1,500ml]」も、大阪産のアロマティックなデラウェアを100%使用。大阪のソウルフード「たこ焼き」にも合う、気軽に飲んでほしいワインを造りたいとの想いから生まれました。大阪で1914年から続く由緒あるワイナリーで、自社農場には100年を超える木も所有しています。

※画像はイメージです。「大阪デラウェア 2020」は完売しました。

写真左から:
島之内フジマル醸造所/デラキング 2019
島之内フジマル醸造所/大阪デラウェア 2020/SOLD OUT
カタシモワイナリー/たこシャン マグナム 2018[1,500ml]

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今回は、東京・台東区の『BookRoad ~葡蔵人~』に潜入。都市型ワイナリーと、そのものづくりについて聞いてきました。

緑も少ない、こんな都心にワイナリー? 上野・御徒町駅からほど近いエリアにある『BookRoad ~葡蔵人~』。食とのペアリングをポップなイラストで表現したおしゃれなシリーズなど、一度見たら忘れられない逸品を数多くリリースしています。2017年にスタートした新進気鋭のワイナリーながら、『日本ワイナリーアワード2021』で3つ星を受賞。『wa-syu』でも人気の銘柄を生み出すその現場を訪ねてみました。

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一棟のちいさなビルがまるごと醸造所!近隣のお客さんも足繁く通う、人気のコミュニティーに。

常に人が集まっている、おしゃれで開放的なビルの1F。ここが『BookRoad』の醸造所兼、販売スペースです。醸造担当の須合美智子さん(写真左)も、時間のあるときは店頭に立ち、スタッフや訪れるお客さんと直接会話を交わしています。すぐ後ろには、ワインを造ったり寝かせたりしている、器具やタンクもあるのが面白いところ。その時期のおすすめをテイスティングすることも可能です。
※新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、営業は変更の可能性があります。

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ステンレスタンクを使用し、一本ずつ手作業で。都市型だからこそできる、少量他品種生産と、丁寧なものづくり。

醸造スペースに入ると、そこには効率よく作業できるように配された、除梗機やプレス機、ステンレスタンクなどが並んでいます。省スペースのため、一部の機材にはキャスターがついていて動かせるようになっているのもポイントです。「原料のブドウ自体は、山梨県の生産者さんから直接分けていただいています。私たちは直接ブドウを生産していないのですが、きちんと顔の見えるその道のプロの生産者さんとコミュニケーションをとって、栽培をお願いしている。自分で車も運転して日帰りで持ち帰り、すぐに仕込みに入ります(須合さん)」。
また、ビンの洗いから瓶詰め、ラベル貼りまですべて手作業だという須合さん。「よく水はどうするのか、と聞かれることがありますが、ワインは果汁のみで水は入れないので、水で左右されるということはありません。そこが日本酒などと大きく違うところですし、都市型でも醸造が可能な部分。基本的に多量の水を使うのは、器具やタンクを洗って清潔に保つとき。やはり大きなタンクなので、たくさん水も使いますし、かなりの重労働です」。

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できたての新酒を直接タンクから味わえたり、ラベルデザインの投票に参加したり。造り手と飲み手の距離がこんなに近い!

『BookRoad』では、店頭でのテイスティングができるほか、3Fには予約制のレストランがあり、ワインとのペアリングが楽しめるスペースも。さらに、ラベルデザインの募集やイベントなども企画しています。こういったワインへのアプローチや提案に、気軽にアクセスできるのも都市型ワイナリーの大きな利点です。タンクから直接注いだワインを味わったり、醸造家とつながるという珍しい体験もできます。さらに『BookRoad』では、茨城県で自社農園もスタートさせるなど、さまざまな試みをしています。生産の現場が近い日本ワインを、より近しいものに。都市型ワイナリーは、まだまださまざまな可能性を秘めています。

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BookRoad ~葡蔵人~
東京都台東区台東:有限会社K' project

BookRoad ~葡蔵人~(ブックロード)は、2017年、東京台東区で設立されたワイナリー。"葡萄と蔵と人が目に見えない道で繋がり、共に繁栄するという願いを込めて。ワインをより身近に感じ、ワインが繋ぐ縁を大切にしたい。"その想いから、ワイン造りをスタートしました。ブックロードのワインは山梨県や長野県の契約農家で育った国産葡萄100%の日本ワインです。食材やイメージなど、そのワインのペアリングをデザインに落とし込んだラベルが特徴。

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